有給休暇・2日目
2日目 8:00 荻野家

 昨日は美味しいものを沢山食べて、適度に疲れていたので、よく眠れた。
 ハクはちょっと(かなり?)強引だったけれど、その他は割と楽しかったし。

 ハクの休暇は3日間らしいから、今日もデートvv
 昨日、お母さんから貰った軍資金はまだ手付かずの状態で残っているし、遊園地にでも行きたいな・・・なーんて思っている。

 きっと今日もハクはお手製お弁当を持ってきてくれるだろうな。
 普段なら嵩張ってしまうお弁当も、ハクの”懐”にかかれば、何の問題もない 。
 これに関しては不審に思ったりもしたけど、ドラ○もんの”四次元○ケットのようなものなのかもしれない。
 深く考えても判らないので、便利で都合がよいものだと割り切ることにした。
 ハクは神様で魔法使いなんだから、きっとそれで説明できることなのかも。

 ただ・・・。
 また移動はハクに乗ってするんだろうなぁ(昨日の帰りもそうだった・涙)。



「あら、今日も出掛けるの?」
 玄関で靴を履いていたら、お母さんが言った。
「うん」

 見なくても、背中にお母さんの視線を感じる。
 じぃ〜〜って見てるんだろうな。
 私は、苦笑した。
 行動を読まれているような気がする。

「今日はお弁当作らないの?」
 ドキッ!
 やっぱり・・・読まれてる??

 昨日の荒れ放題のキッチンは、私が家に帰った時には片付けられていた。
 どう考えてもお母さんが掃除してくれたんだろうなぁ。

「今日は良いの。じゃぁ、行って来ま〜す!」
 私は立ち上がって、つま先をトントンと床に当てて具合を良くしてから勢いよく玄関を開けた。

「車に気をつけるのよー!」
とお母さんが叫んでる。

 ふふ。
 車なんか関係ないのにね。
 空のドライブは、ちょっとだけ怖いけど快適。渋滞も信号もないし。
 好きな人と二人で空を飛ぶって、素敵な気分(前段階はともかく・・・)。

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    9:00 待ち合わせ

 嬉しくて嬉しくて。
 予定よりも早く目が覚めてしまう。
 今日も千尋が行きたいと言うところに行くつもりだ。
 あんなに喜んでいたのだから・・・と、私は今日も弁当を作ることにした。
 昨日と同じでは芸がないので、何を作ろうかと悩む・・・。



 しまったしまったしまった!!!
 私としたことが、千尋との(←重要)約束の時間に遅れるなんてっ!!

 昨日と同様早起きはしたのだが、千尋の為に弁当を作っているうちちに・・・遅くなってしまった。
 おまけに、出掛けに坊が私の行く手を妨害したものだから・・・不本意ながら遅刻。
(当然、坊にはそれなりの仕置きをしておいた。許す訳がない)

 まったく。
 千尋は私を想っているというのに、いつまでも諦めの悪いことだ。
 湯婆婆が甘やかしすぎるから・・・。

 上空から千尋の姿を見つけ、私は人型を取りながら高度を下げた。
 近づいてい来る私に気づくと、千尋はまぶしそうに空を見上げている。

 すとん。

 ほんの少しだけ砂埃を上げて、私は千尋の前に降り立った。

「遅れて悪かったね。随分待ったのではない?」
 千尋は、ぶんぶんと首を横に振る。
「ううん。そうでもないよ。それに、昨日は私が遅れちゃったから」

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    9:15

 ハクが遅刻だなんて珍しい。
 怒るよりも驚きの方が大きかった。
 それに、実際昨日は私が遅刻したのだから怒れる立場でもない。

 私が怒ってないことを告げると、ハクはあからさまにほっとした様だった。
「さぁ、千尋。今日はどこへ行きたい?」
「ハクは?ハクが行きたい所は?」
 昨日は私の行きたい所に行ったから・・・という理由もあるけれど。
 私はハクがどんな所へ行きたいのか知りたかった。
 私が知らないハクに興味があったから。

「千尋が行きたいところなら、どこへでも」
 ハクは、そう言って微笑んだ。
 相変わらず、小憎らしいほどにカッコ良いんだからっ!
 ハクの言葉に、私は飛び上がって喜んだ。
「じゃぁね!ディズニーランド!!」
 行きたかったんだvディズニーランド。
 ディズニーシーじゃなくて、ディズニーランドを選んだのは、大好きなプーさんのため。
 もちろん、ミッキーもドナルドも好きだけど、プーさんが1番好きなのっ!
 だから、プーさんが居ないディズニーシーよりもディズニーランドが好き!!

 ハクは、そんなこと判ってないだろうけど・・・。
 私が嬉しそうにしているから、快く承知してくれた。

 ディズニーランドでデートと言う幸せいっぱいだった私は、ハクの姿に今になってようやく気付いた。

 白い水干。
 足には草履。
 ・・・・・・。

 その服はヤバイよっ!!

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 それまで、にこにこと機嫌の良かった千尋の顔色が、さっと変わった。

 私には、何故大騒ぎしているのか理解できない。
 が。

 千尋は、慌てで私の服装を替えるように、言う。
 何がオカシイというのか?
 私の着物は、油屋のどの従業員よりも立派だし、色だって純白だ。
 すっきりと着こなした姿はまさに神々しいと言えるだろう。

 それなのに。
 千尋ときたら・・・。

「目立っちゃうよ!」
「他人の目など、気にする必要はないだろう?」
「私は気になるし!」
 千尋は、そこで強い口調を止め、一息おいた。

「それに、私、ハクが現代服着てるとこ見てみたいなぁ」
 ダメ?
 上目遣いでこう言われては逆らえるはずがない。
 私はしぶしぶながら頷いた。

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 ふー。危ないところだった。
 そりゃぁ、ハクには白い水干姿が良く似合ってる。
 そうなんだけど。
 やっぱり遊園地には合わないと思う。

 それに。
 この季節に、はだしに草履は見ていて寒い。
 私の精神衛生のためにも、ハクには現代服を着てもらった。

 ハクは、居心地が悪そうに、服のあちこちを引っ張ったり触ったり。

 どこから見ても正真正銘美少女に見える。
 解ってたけど。
 ・・・ちょっと複雑な気分。

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    10:00 ディズニーランド上空

「その入り口から入るから、近くで降ろして」
 私は、ハクの背に乗ったまま、人がいっぱいいる辺りを指差した。

『何故?このまま中へ入った方が並ばずに済むよ?』
 竜の姿の時は、人間の言葉を話さないハクは、私に思念を送って意思の疎通をしている。
「駄目なの。あそこでお金払って入場券を買って入らなきゃ」

『あの一番目立つ城に降りよう』
 ハクが示すのはディズニーランドの真中にあるシンデレラ城。
 そりゃぁ、シンデレラ城のてっぺんに竜に乗って降りて行くなんて、素敵だと思うけれど・・・。
 でも。
 人目が気になる。

「だ、駄目だよっ!人がいっぱい来ちゃう!それに、フリーパスポート買わないと乗り物に乗れないよっ!」
 ハクは、そのままシンデレラ城へ向かおうとしていたので、私は慌てて言った 。
『なんだ・・・つまらない』

 ようやくここでお母さんから貰った軍資金(+α)が役に立つ。
 ハクは、名残惜しそうにシンデレラ城の上を旋回してから、入場口近くの物陰へと向かった。

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    10:20 ディズニーランド

「ディズニーランド、大好きvv」
 千尋は嬉しそうに駆け出した。
 足取りも軽い。

「あの人間たちは、何故あのような皮をかぶっているのだ?」
「皮・・・?」
 千尋は私の視線を追った。
「ミッキーだぁ♪」

「あれは、皮じゃなくて、着ぐるみって言うか・・・」
「しかし中は人間なのだろう?それが解っていて、何故?」
「ん〜。そうだけど〜〜。あれはミッキーなのっ!ミッキー好きだもんvぬいぐるみが動いているって感じかなぁ。本物の鼠や熊だったら、かえって嫌だな。作り物だから可愛いのvv」
 私が不思議そうな顔をしていると、千尋は、ぽんっと手を叩いた。

「そう!ぬいぐるみのオシラ様は凄く可愛いけど、本物はちょっと目が気持ち悪いじゃない?あんなかんじ(オシラ様ゴメンなさい〜〜!)」
 そう言われても、特に気持ち悪いと思ったこともない。
「ハクなら解ってくれるよね?大好きなんだvv」
 ぐっ・・・。

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    11:40

 お昼までは、散々写真を撮ったり(念願のプーさんとの2ショットも撮ったよ!!)お店をブラブラ見たり(欲しいものばかりで目移りしちゃうっ!!いっぱい買って、ハクの四次元懐に入れてもらおうっ!)

 少し早めにお昼にしようと、私たちは近くのファーストフード店へ入った。
 そこらじゅう、人人人!
 だけど、私たちは並ばずに、勝手に奥の席へついた。

 昨日と同じように、ハクは懐から2人の昼食を取り出した。
 違うのは形。昨日は四角い朱塗りの重箱だったけど、今日のは黒に煌びやかな蒔絵の丸いのだった。
 これはよく、出前で・・・。

 ハクは、自慢気に蓋を開けた。

 予想通り・・・。
「お寿司っ!!」

 温まってんじゃないの・・・?

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「今日は良いヒラマサが手に入ってね。急遽メニューを変更したんだよ」
 まぁ、そのせいで遅刻してしまったが、私は自分の判断が間違っていたとは思わない。
 それくらい自信がある。

「ヒラマサ?」
「赤身の魚だよ」
「ふぅ〜〜ん」
 千尋は美味しそうに私の心がこもった寿司を頬張りながらも、熱心に聞いてくれている。
 やはり、こういう時のためにも、男は物知りでなければ。

 もちろん私は他の魚介類や卵の寿司も握ってきたのだが、千尋は手を伸ばす時に、一瞬私の顔を見て微笑み、ヒラマサばかり食べている。
 私が、他のお客様方へお出しするどの魚よりも良いものを選んだのだから、美味しいのは当然だ。
 プラス愛☆で美味しさUP間違いない。

 私は良い気分で寿司を口に入れた。
 愛する者と食べる弁当は美味しい。

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    13:08 スプラッシュマウンテン

 ギリギリまで緊張を高めて・・・急に足元が無くなるかんじ。
 ふっと襲ってくる無重力感と恐怖。空白の時間。

「キャー!!!」
 一気に下るところで、私は思い切り叫んだ。

 気持ちいい〜〜!
 楽しい〜〜!
 サイコ―!!

 小さな頃から、絶叫マシーンは大好きだった。
 一人っ子の私は、お父さんと二人でいつも乗っていたっけ(お母さんは絶対一緒に乗らないの)。
 お父さんは、あぁ見えて意外と高いところが苦手で(笑)

 ハクは、自分で空を飛ぶんだから、そんなことないよねvv
 私は、笑いながら隣のハクを見た・・・・・・ありゃ?

 ・・・青いよ。

 蒼白、という言葉がピッタリな顔色。

 嘘でしょ!?冗談?
 ハクが、ハクがジェットコースター苦手だなんてっ!!

「ハク・・・大丈夫?」
 明らかに大丈夫じゃなさそうだけど、他にかける言葉も思いつかなかった。
 ハクは返事をしなかったけど、相変わらず青い顔。
 止まるまでなんとか保ってくれればいいけど・・・(汗)

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 声をあげることだけは・・・。

 奇跡的に耐えた。

 千尋の前でみっともない姿を見せることは、私の自尊心が許さないので。

 それにしても。

 人間たちは、なんという乗り物に乗っていることか!?
 しかも、多くの者はこの乗り物を楽しんでいる!

 私は、心配そうに私を覗き込んでいる千尋を、ちらっと見た。
 千尋も。
 ・・・思い切り楽しんでいた・・・。

 千尋を乗せて家へ送り届けるだけの元気が残っているだろうか?
 かなり不安・・・。

 落ち込む私に手を振りながら、蜂蜜ツボを抱えた千尋が駆けて来ていた。

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   散々振り回しているようで、実は尻に敷かれてるのかも?



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